解体工事でうるさい期間は?苦情がきやすい工程と騒音対策について解説!

住宅の解体工事では大きな音が発生するため、作業中は近隣住民に迷惑をかけることになります。では、解体工事期間中で特にうるさい期間はどれくらいあるのでしょうか。

今回は、特に騒音が出やすい工程や法律で定められた規制、苦情を防ぐために講じておきたい騒音対策について解説します。

目次

解体工事がうるさい期間はどれくらい?

解体工事はどんなに対策していても音や振動をゼロにすることはできません。しかし、事前にどの工程で何日間大きな音が発生するのかを把握しておくだけで、ストレスは軽減できるでしょう。

ここでは、解体工事の工程や騒音レベルについて解説します。

一般的な解体工事の期間

解体工事の期間は、一般的な木造一戸建て住宅の場合、およそ2週間です。

<解体工事の流れと作業日数の目安>

  1. 足場設置(1日間)
  2. 屋根解体(1~2日間)
  3. 内装解体(3日間)
  4. 建物解体(3~7日間)
  5. 基礎の撤去(2日間)
  6. がれき・廃棄物の処理(1日間)
  7. 清掃・撤収(1日間)

このうち建物の解体作業と基礎の撤去作業で特に大きな音が発生しますが、工事期間中は重機作業のほか、足場の組立て・撤去作業、車両の通行で騒音が発生し続けることになります。

解体工事を行える時間帯

解体工事は何時に行っても良いわけではありません。環境省が定めた騒音規制法により、住宅地・商業地では午前7時~午後7時、工業地帯では午前6時~午後10時までと決められています。

また、1日の作業時間にも制限があり、住宅地・商業地は10時間以内、工業地帯は14時間以内です。

解体業者は上記の作業可能時間のなかで工事することになり、多くの場合、通勤通学の時間や近隣に迷惑になる時間を避けて8時間程度作業を行います。

工事期間中の騒音レベルの目安

解体工事では大きな音が発生しますが、騒音規制法により85dB(デシベル)以下に抑えなければならないと定められています。

騒音レベルの参考として、電車の車内が80dB、騒々しい工場の中が90dB、電車が通るときのガード下が100dBです。

ブルドーザーのような重機は5メートルの距離で90dBの音が発生することもあるので、解体業者は85dBを超えないように工夫しながら作業を行っています。

参考:騒音規制法|e-Gov

解体工事で特にうるさい期間はいつ?

解体工事期間中で特に騒音が大きくなるのはいつなのでしょうか。

具体的には重機を使う作業やコンクリートの基礎を解体する作業、がれきを撤去する作業で大きな音が出やすく、近隣に影響が出やすいといえます。

重機による解体作業中

家屋の解体作業は重機を使用して、工事開始1週間後あたりから3~7日間かけて行います。この期間は、特に大きな音が発生しやすいといえるでしょう。

解体工事では主に油圧ショベルを使用します。油圧ショベルのアームの先端にあるアタッチメントをフォークと呼ばれる挟む機能のものに付け替え、建物を挟みながら解体します。

フォークで家屋の一部を引き剥がすときや、がれきが下に落ちるときの音が騒音の原因です。

コンクリートの破砕作業

もう一つ、大きな音が発生しやすいのが基礎のコンクリートを撤去する作業です。基礎の撤去は建物の解体作業のあと、2日程度かけて行われます。

基礎のコンクリートの破砕作業では油圧ショベルのアタッチメントをブレーカーと呼ばれる筒状の金属に変更して行うのが一般的です。

ブレーカーはハンマーのようにコンクリートを連続打撃して粉砕でき、鉄筋や岩石の解体で活躍しますが、大きな力で連続使用するため、作業時に騒音と振動が発生することになります。

廃材の搬出時

解体工事で特に大きな音が発生するのが上記の2つの作業ですが、廃材の搬出時にも騒音が発生します。廃材を集めてトラックに載せる際には、廃材同士がぶつかる音が出ることも少なくありません。

解体工事業者は大きな音が響かないように、廃材を高いところから落とさない、静かに置くなどを心がけて作業していますが、金属などの音が響きやすい素材はどうしても大きな音が出てしまいます。

また、搬出時の大型車両の出入りも騒音と振動の原因となるでしょう。

解体工事の騒音に対する法律や規制

解体工事は法律で定められたルールに従って行う必要があります。

実際には解体業者が法令を遵守して作業することになりますが、近隣住民から施主に直接質問や要望が来ることもあるので、業者任せにせず自分でも簡単に理解しておいた方が良いでしょう。

参考:騒音規制法|e-Gov

騒音規制法

騒音規制法とは、建設作業現場や工場、事業所などから発生する騒音から周囲の住民の生活環境や健康を守るために制定された法律です。

建設作業に対しては、ブルドーザーやくい打ち機などを使用した、著しい騒音が発生する作業に適用されます。そのうち解体工事では騒音を85dB以下、加えて振動規制法で振動を75dB以下に抑えなければなりません。

建設作業の場合、行政の改善命令・勧告や指導を無視して基準値以上の騒音を発生させ続けたときは、5万円以下の罰則が設けられています。

規制内容は区域によって異なる

騒音規制法では、騒音レベルだけでなく地域によって区分が設けられ、エリアによって規制内容も異なります。

建設作業で区分されるのは「第1号区域」と「第2号区域」の2つです。第1号区域は主に住宅街・商業地を指します。特に静かな環境を保つ必要がある区域で、作業可能時間は午前7時~午後7時、1日10時間以内と定められています。

第2号区域は第1号区域以外の地域を指し、作業可能時間は午前6時~午後10時、1日14時間以内です。

そのほか、くい打ち機などを使用する解体作業では作業開始日の7日前までに役所の窓口に特定建設作業の届出を行わなければなりません。

解体工事の騒音クレームを回避する対策

解体工事では騒音を抑えるにも限度があり、期間を短縮するのも難しい工事です。とはいえ、できるだけ騒音によるクレームを避けたいですよね。

ここでは、解体工事の際に近隣住民のストレスを最小限に抑え、クレームを防止する方法を紹介します。

信頼できる解体業者を選ぶ

解体業者は経験豊富で信頼できる業者に依頼しましょう。きちんとした業者なら、工事の品質はもちろん、近隣に配慮した工事を心がけて作業します。

解体工事では解体作業による音のほか、車両の通行、作業員の声も騒音クレームにつながります。

作業中の声掛け以外の私語などで迷惑をかけないようにする、住宅街を車両が走行するときは徐行して騒音を抑えるなど、従業員教育を徹底している業者を選ぶようにしましょう。

業者選びの際は複数の業者から相見積もりを取り、費用だけでなく営業担当者の説明は明確か、対応は丁寧かどうかも比較して決めると失敗を防げます。

実施される騒音対策を確認する

見積もりの際には騒音対策について確認しておくと安心です。

解体工事の騒音対策としては、防音シートを設置する、低騒音型の建設機械を使用する、重機のアタッチメントにゴムを取り付けるなど、さまざまな方法があります。

営業担当者に具体的にどのような対策を行っているか聞いておき、クレームの心配がある場合は相談しておきましょう。

実施する騒音対策について施主が知っておけば、近所の人から聞かれた際にも説明しやすいはずです。

事前に近隣住民に挨拶を行う

解体工事のクレームを避けるには、工事前に近所へ挨拶回りをしておくと効果的です。近隣住民に工事の内容と日時、騒音・振動が発生する可能性を伝えておくと、事情を理解してもらいやすくなります。

挨拶回りは業者のみで行う場合と業者と一緒に回る場合がありますが、できるだけ業者と施主が一緒に回り、住民とコミュニケーションをとった方が誠意が伝わり、良好な関係性を維持しやすくなります。

挨拶の際はお菓子やタオルなどの粗品を持っていくと真心が伝わりやすいでしょう。

解体業者に作業時間を配慮を依頼する

近所に通学路がある場合や、隣人の生活スタイルに配慮したい場合などは、解体業者に作業時間帯について協力してもらうようにしましょう。

業者側も「早朝は避けた方が良い」「12:00~13:00は音を出さない方が良い」などという情報が分かれば、作業計画を立てやすくなります。

また、通学路の通行禁止時間帯があり、現場に車両が侵入できないなどの情報がある場合は、打ち合わせの際に業者に伝えておくとスムーズです。

解体工事がうるさいのが原因で苦情がきたときの対処法

万が一、工事の騒音が原因でクレームが入ってしまった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。

以下で対処方法を詳しく紹介しているので、工事が始まる前にチェックしておき、問題が起こったときにいつでも対応できるようにしておきましょう。

迅速な対応を心がける

工事に関するクレームが入った場合は迅速な対応が肝心です。すぐに解体業者に連絡し、対応方法を確認してください。

「あと少しで終わるから」「業者が対策しているはずだから」と後回しにすると思わぬトラブルに発展する恐れがあるので、注意しましょう。

業者にクレームの内容を伝えたら、担当者と共に訪問して事情を説明します。専門的な説明は業者が行ってくれます。施主は相手の主張をよく聞き、誠意を見せ、住民の理解を得ましょう。

工事中断の要求には妥協案を提示する

ときには住民から解体工事の中断を求められるケースがあります。解体工事の騒音と振動は、近隣住民にとって想像以上のものに感じられる場合があるでしょう。

しかし、必ずしも工事を中断する必要はありません。追加の防音対策と工事の状況を説明し、工事を続けたいという意思を丁寧に伝えるようにしてください。

施主だけでは説明が難しい部分もあるので、業者と共に説明に向かい、理解してもらうことが大切です。

金銭要求に応じる法的な義務はない

解体工事へのクレームに対して真摯に対応する必要はありますが、金銭要求に応じる必要はありません。

法律や自治体で定められたルールに従って工事を行っていれば慰謝料等の支払い義務はありません。追加の防音対策を行った旨を説明し、納得してもらいましょう。

度を越したクレームは恐喝に該当する場合もあり、訴訟に発展したり苦情を出した側が罪に問われたりする事例もあります。

もし、あまりにも理不尽な要求だと判断した場合は、警察や弁護士などに相談しましょう。

騒音以外の解体工事で起きやすいトラブル

解体工事では騒音以外が原因のトラブルが起こる可能性があります。

以下に解体工事で起こりやすいトラブルの要因を挙げるので、事前に把握しておき、できるだけ近隣住民に配慮した工事を行うようにしましょう。

振動トラブル

解体工事では、騒音トラブルに加えて振動に関するトラブルが発生するケースが少なくありません。

特に基礎の解体作業では振動が起こりやすいため、クレームが起こりやすい傾向があります。

強い振動は外壁や内壁のひび割れや家屋の傾きを引き起こす可能性があります。近隣住民が家屋の不具合を訴えたときに、本当に工事が原因の不具合であることを確認できるよう、工事前に家屋調査を行っておくことが大切です。

粉塵トラブル

工事現場周辺の家や車が解体工事で発生する粉塵の被害に遭い、トラブルになることがあります。

粉塵をできるだけ敷地の外に飛ばさないようにするためには、養生シートの設置と定期的な散水が必要です。工事を依頼する際には養生シートのサイズが建物の大きさに合っているか、散水の頻度はどれくらいかなどを確認しておきましょう。

また、作業中は洗濯物を外に干さない方が良いので、工事前の挨拶回りの際に、作業時間帯と日程を伝え、洗濯物に関する注意点も伝えておくとトラブルを避けられます。

解体業者のマナー

解体工事に関するトラブルの原因の一つとして、出入りする解体業者のマナーを忘れてはいけません。

挨拶回りをする営業担当者や解体工事を行う作業員のマナーが悪いと、通常なら「お互い様」で済ませることができた騒音がクレームに発展してしまうかもしれません。

誰しも知らない人が近所を出入りしているのを見ると不安になるものです。車両の駐車場所や休憩場所、声などには十分注意が必要です。

業者のマナーについては、経験豊富で信頼が高い業者ほどきちんとしている傾向があるので、業者のホームページを見て、施工実績や口コミ、会社の考え方などをチェックしておくと失敗を防げます。

まとめ

解体工事はマンションのような大規模な建物だけでなく、一軒家でも大きな音が発生します。

法律の規制の範囲内で作業していても、近隣住民にストレスを与えてしまうこともあるでしょう。解体後に新築工事を行う場合は音が出る期間も長くなり、思わぬトラブルに発展するおそれもあります。

トラブルを避けるためには、事前の挨拶回りなどをしっかりと行い、事情を説明して理解を得ておくことが大切です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次